奴隷(escravo)という言葉はもう古い?

人種問題

今週の「カポエイラ読解講座」でも解説していた話題ですが、とても大切なトピックなので、講座に参加していない方向けにもう一度取り上げておこうと思います。

今講座で読んでいるテキストの中にescravo(奴隷)という単語が出てきたのですが、この単語は近年escravizado(奴隷化された人々)と言い換えられるようになってきています。

たとえば私たちがカポエイラの起源を語るとき、「カポエイラはアフリカから連れてこられた奴隷たちによってつくられた」などと何気なく話していますよね。私もこれまではそうでした。しかし彼らは最初から「奴隷」であったわけではなく、ブラジルに連れてこられて「奴隷にされた」というのが正確なんですね。

これについては、これまで参加したワークショップなどでも、「私の祖父は生まれた時から奴隷だったのではない。奴隷にされたのだ」とか「アフリカから連れてこられたのは人間たち(seres humanos)であって、初めから奴隷として存在していたのではない」といった主張を聞いたことがありました。

黒人の立場からすれば、自分たちの先祖が「奴隷」だったと言われることは非常に屈辱的なことですし、何より不正確だということになります。これを「奴隷化された人々」と言い換えることで、奴隷化した人々の罪を告発し、それがもとで今日まで続く差別的な社会に対して常に意識的であることができるというわけです。

同じようにmarginal(最底辺の人)をmarginalizado(最底辺化された人)に、 pobre(貧困者)をempobrecido(貧困化された人)に言い換えようという動きもあるようです。そうすることでそのような人々が怠惰だったり、能力がないからそのような状況にあるのではなく、そうさせる社会構造があるという背景をあぶりだすことが可能になります。

どの言葉も日本語にすると長ったらしいですが、ポルトガル語ではいずれもシンプルな一語で言うことができます。

私たちカポエイラとしては、まず奴隷(escravo)という言葉をとらえなおすことから始めてみるのがいいかもしれませんね。

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